昔々、インドに牛頭天王という王様が住んでいました。 牛頭天皇は妻を迎えようとしましたが、頭に角のある、 恐ろしい容姿から寄り付く女の人はいませんでした。 そこに一羽の鳩がやってきて、竜王の娘の場所へ案内すると言いました。 牛頭天皇は竜王の娘を妻にするため、姿を変えて旅に出ました。 旅の途中、食べるものが無くなり、日も差し掛かってきた所で、 ある一軒の屋敷にたどり着きました。 そこは、巨旦将来(こたんしょうらい)という裕福な人の屋敷。 牛頭天王は一晩泊めて欲しいとお願いしましたが、 そのみすぼらしい姿を見た巨旦将来はそっけなく断りました。 しかたなく牛頭天王は次の家を探すと隣に小さな家がありました。 そこは巨旦将来の兄、蘇民将来(そみんしょうらい)の家でした。 蘇民将来は裕福ではありませんが、牛頭天王を気持ちよくもてなし、 栗ご飯を振舞ってくれました。 牛頭天皇はそのお礼に、蘇民将来に願いごとがすべてかなうという牛玉を授け、 蘇民将来は裕福になりました。 旅の疲れがとれ元気になった牛頭天王は旅を続け、無事に竜王の娘と結婚しました。 牛頭天王は竜王の娘との間に八人の王子をもうけ、幸せな日々を過ごしました。 数年ののち故郷へ帰る途中、牛頭天皇は蘇民将来の家に立ち寄り、 「私は、インドの北の国を治める王だ。 長旅の折り、食す物にも困っている時、お前の弟から冷たくあしらわれた。 その復讐に、私はこれから疫病の神となり、必ず 巨旦将来の一族に復讐に向かう。 しかし、お前の行いには感謝している。お前には災いの無いようにしよう」 と言いました。 巨旦将来は、千人もの僧侶を集め抵抗しましたが、 蘇民将来の娘である巨旦将来の妻以外皆殺しにされてしまいました。 この事から、牛頭天王は疫病の神と言い伝えられ、人々に恐れられました。 |